1911 年 、 シーフィールド 伯爵 夫人 は 死去 に際し 、 アーカート 城 を 国家 に 委任 する と の 遺言 を 残し た 。
夫人 の アニェーゼ・ランディーニ と の 間 に フランチェスコ 、 エマヌエーレ 、 エステル の 2 男 1 女 が いる 。
1748 年 に 第 6 代 ソールズベリー 伯爵 { 仮 リンク | ジェイムズ・セシル ( 第 6 代 ソールズベリー 侯爵 )| label = ジェイムズ・セシル | en | James Cecil , 6 th Earl of Salisbury } と その 夫人 エリザベス の 長男 として 生まれる 。
頽廃 的 な 社交 界 を 舞台 に 、 貞淑 な 人妻 の 伯爵 夫人 が 夫 へ の 貞潔 と 、 青年 へ の 情熱 と の 板ばさみ に 苦悩 する 三角 関係 の 恋愛 心理 の 物語 。
ある 日 知り合っ た 青年 へ 恋心 を 抱き 、 その 燃え上がる 情熱 を 自制 しよ う と 苦悩 する 貞淑 な 夫人 の 感情 の 動き と 、 仮装 の 社交 界 で 孤独 を 感じる 青年 の 一途 な 慕情 と の 絡み合い を 中心 に 、 人工 的 感情 の 仮面 を つけ た 様々 な 人物 が それ と 意識 せ ず に 弄する 心 の 軌跡 を 、 盤上 の チェス 駒 を 動かす か の よう な 端麗 なる 筆致 と 硬質 な 文体 で 細密 画 の よう に 美しく 描い て いる 。
「 心理 が ロマネスク で ある ところ の 小説 」 、 「 もっとも 純潔 で ない 小説 と 同じ くらい に みだら な 貞潔 な 恋愛 小説 」 を 企図 し た 作品 で 、 簡素 な 三角 関係 の 筋立て ながら も 格調 高く 、 夫人 の 秘め や か で 熾烈 な 恋 を通じて 、 結末 で 古典 劇 の ヒロイン の よう な 壮大 な 姿 に 化身 する 小説 的 美学 が 示さ れ て いる 。
『 ドルジェル 伯 の 舞踏 会 』 は 、 17 世紀 末 に ラファイエット 夫人 の 書い た 『 クレーヴ の 奥方 』 に 影響 を 受け て おり 、 文学 史 の 上 でも 、 ラクロ の 『 危険 な 関係 』 ( 1782 年 )、 コンス タン の 『 アドルフ 』 ( 1816 年 ) など と共に , 『 クレーヴ の 奥方 』 以来 の 伝統 的 な フランス の 恋愛 心理 小説 ( roman psychologique , roman d ' analyse ) の 系譜 に 連なる 作品 として 位置づけ られ 、 古典 派 的 作品 と さ れ て いる 。
先ず 冒頭 で 、 ヒロイン で ある ドルジェル 伯爵 夫人 ・ マオ の 家系 や 生い立ち が 数 ページ にわたり 記述 さ れ 、 次に 、 この 小説 で は まったく の 副 人物 に すぎ ない ポール ・ ロ バン の 性格 や 心理 が 丹念 に 分析 さ れ 、 中心 的 人物 の ドルジェル 伯爵 や フランソワ の 紹介 が 矢継ぎ早 に 行わ れる 。
1920 年 2 月 7 日 の 土曜日 、 ドルジェル 伯爵 夫人 ・ マオ は 、 夫 の アンヌ・ドルジェル 伯爵 と共に 、 「 メドラノ 」 曲馬 を 見 に 出かけ て 行き 、 そこで 夫 が 一 度 顔 を 見知っ て い た フランソワ ・ ド・セリューズ という 20 歳 の 青年 と 出会っ た 。
フランソワ は 、 ドルジェル 伯爵 と 踊る 夫人 ・ マオ に 惹か れ た 。
フランソワ は 実家 ( シャンピニー ) の 母 ・ セリューズ 夫人 を 訪ね 、 親切 に なっ たり し た 。
追いつめ られ た マオ は 、 フランソワ を 愛し て しまっ た 苦しみ を セリューズ 夫人 ( フランソワ の 母 ) に 手紙 で 告白 を し た 。
マオ は フランソワ が もう 自分 たち と 会わ ない よう に し て ほしい と セリューズ 夫人 に 頼ん だ 。
セリューズ 夫人 は マオ を 訪ね 、 息子 も あなた を 愛し て いる と 言っ た 。
マオ は フランソワ が 今夜 の 晩餐 会 に 来 ない よう に 、 あらためて セリューズ 夫人 に お願い し た 。
セリューズ 夫人 の 中 に 眠っ て い た 女性 が 目ざめ 、 彼女 は 目 に 涙 を ため て い た 。
セリューズ 夫人 は マオ を 聖女 の よう な 人 だ と 思っ た 。
しかし セリューズ 夫人 は 息子 ・ フランソワ の 下宿 へ 行く と 、 酔い が さめ た 気持ち に なり 、 マオ の 手紙 を 息子 に 見せ て しまっ た 。
マオ は 自分 が セリューズ 夫人 に 手紙 を 出し た こと も 言っ た 。
伯爵 は おだやか に 妻 に 接し 、 今後 の セリューズ 夫人 や フランソワ へ の 対応 や 処理 を 考え た 。