トイレ に 行く に も 「 〇 〇 二等兵 、 厠 ( かわ や ) に 行っ て 参り ます っ 」 と 古参 兵 に 大声 で 告げ て から 行く の で ある 。
しかし 古参 兵 ( 在 営 二 年 次 以上 ) に なる と 点呼 の 時 に そこ に 居れ ば よい ので 、 行先 も 告げ ず 適当 に 兵営 の 中 を うろつき まわる こと が でき た 。
日曜 と 正月 は 軍 の 官衙 も 部隊 も 休業 で 将校 は 週番 を 除い て 出勤 せ ず 、 営内 居住 の 下士官 兵 は 外出 が でき た 。
食事 は 入隊 年次 の 若い 兵 ( たいてい 初年 兵 、 初年 兵 が 居 ない 場合 は 手すき の 兵 ) が 「 飯 上げ 」 と 称し 、 中隊 週番 上等 兵 の 指揮 の もと に 隊伍 を 組ん で 部隊 炊事 場 に 取り に 行き 、 主 に 食 缶 という バケツ ( 明治 の 頃 に は 桶 ) に 入れ て 内務 班 に 持ち帰っ た 。
下士官 は 食事 を 隣接 の 下士官 室 で 摂る ので 、 初年 兵 が 盆 に 載せ そこ まで 持参 し た 。
稀 に 下士官 が 兵 の 食卓 について 共に 食事 する 事 が あっ た 。
内務 班 で の 食事 が 終わる と 初年 兵 が 食器 を 洗い 、 食 缶 を 炊事 場 に 返納 し た 。
食事 献立 は 炊事 場 から 出 た 案 を 部隊 本部 の 経理 委員 が 見 て 決める ので 、 部隊 により その 時どき の 食糧 事情 により 異なっ て い た が 、 兵 食 の 定量 が 陸軍 省 により 全 軍 一律 に 定め られ て い て 、 摂取 カロリー に 過不足 の 無い よう に なっ て い た 。
炊事 は 部隊 本部 の 經理 委員 の 配下 に ある 炊事 場 で まとめ て 行わ れ 、 下士官 兵 に 睨み の 利く 古参 軍曹 の 炊事 班長 が 取り仕切っ て い た 。
調理 の 専門 教育 と 炊事 専門 兵 は 存在 し なかっ た 。
起床 喇叭 の 鳴る 遥か 以前 から 炊事 場 に 出掛け 、 夜 は 遅く まで 内務 班 に 帰れ ず 、 上等 兵 に も なれ ない ため 、 あまり 人気 の ある 仕事 で は なかっ た 。
将校 は 炊事 場 の 兵 食 は 食べ ず 、 将校 集会 所 で 毎 昼 、 私費 の 会食 を し 、 民間 業者 の 仕出し に 頼る 事 が 多かっ た 。
営外 居住 者 ( 将校 准 士官 、 古参 の 曹長 ) が 炊事 場 の 兵 食 を とっ た 場合 は 、 食事 伝票 が きら れ て 炊事 軍曹 に まわり 、 その 代金 が 俸給 ・ 月給 から 差引 と なっ た 。
営内 居住 の 下士官 兵 の 食事 は 無料 で ある が 、 その 分 だけ 月給 が 安く なっ て い た 。
酒保 は 兵 用 の もの が あっ て 、 部隊 本部 の 酒保 委員 が 管理 運営 し て い た 。
酒類 ( 日本 酒 、 ビール ) 、 飲物 ( みかん 水 ・ 瓶 入 コーヒー など )、 スナック ( アンパン ・ 大福 ・ 稲荷 寿司 ・ おでん ・ 饂飩 など ) 、 日 用品 ( 手拭 ・ 絵葉書 ・ 便箋 ・ 鉛筆 ・ チリ 紙 ・ 褌 など ) の 雑貨 を 販売 し て おり 、 酒保 当番 の 兵 が 店番 を する 部隊 も あれ ば 、 民間 業者 が 入っ て いる ところ も あっ た 。
初年 兵 は 最初 の 訓練 期間 中 ( 大抵 は 1 期 検閲 まで ) は 立入禁止 と なっ て おり 、 それ が 解禁 と なっ て も 怖い 古 年次 兵 が 充満 し て いる ところ に は 入り がたく 、 寝台 戦友 の 古兵 が 代り に 菓子 を 買っ て き て 初年 兵 の 寝台 の 毛布 の 下 に 黙っ て 入れ て 置い たり し た ( 消灯 後 に 毛布 を かぶっ て ひそか に 食べ られる よう に ) 。
初年 兵 は 厳しい 教練 で 体格 が 成長 する ので 食事 量 が 多く 常に 空腹 で あっ た が 、 逆 に 古参 兵 は 体格 が 出来 て しまい 、 それほど 食事 量 を 摂ら なく とも 済む ので 、 食べ 残す 者 さえ あっ て 、 どうしても 残飯 が 出 た 。
掃除 は 毎朝 、 初年 兵 が 一斉 に 行っ た 。
班 内 掃除 の 他 、 週番 上等 兵 が 募集 する 厠 掃除 、 営庭 の 雑 草取 など の 使役 に 出る 事 も そう そう あっ た 。