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日本 で は 1949 年 、 藤本 英雄 が 宇野 光雄 と キャッチボール を し て い た とき に 初めて 意図 的 に スライダー を 投げる こと に 成功 し 、 翌 1950 年 に 日本 プロ 野球 初 の 完全 試合 を 達成 する など 活躍 し た 。

藤本 の スライダー は 「 空 を 飛ぶ トンボ が スッ と 曲がる よう な 球 」 と 形容 さ れ 、 フェラー の 著書 から スライダー と 呼ば れ て いる の を 知っ た と いう 。

シリーズ 二 冊 目 、 水田 宗子 編集 の 『 女 と 表現 フェミニズム 批評 の 現在 』 で は 、 白藤 名義 の 「 ボレロ 欲望 の 構造 」 と 、 藤本 名義 の 「 少女 マンガ における 『 少年 愛 』 の 意味 」 の 二つ を 書く 。

後者 の 藤本 名義 の 文 は 、 「 や おい 」 の 出自 と 変化 を 分析 。

次 の 、 シリーズ 三 冊 目 『 ポルノグラフィー 揺れる 視線 の 政治 学 』 において 、 白藤 名義 で 責任 編集 と 執筆 、 シリーズ 二 冊 目 同様 に 藤本 名義 で も 執筆 し た 。

藤本 名義 で は アダルトビデオ 製作 会社 「 VIP エンタープライズ 」 の プロデューサー 兼 監督 ・ 岸田 光明 の インタビュー と 、 レディース コミック の 官能 性 を ファンタジー ・ 被 強姦 願望 ・ SM ・ 近親 相姦 など さまざま な 角度 から 詳細 に 検証 する 中編 、 の 二つ を 書い て いる 。

同誌 編集 で 藤本 は 、 白藤 花 夜 子 を 「 わけ あっ て 素顔 を 隠す 気鋭 の 風俗 評論 家 」 と 紹介 し 、 また 誌面 の 写真 で も 仮面 を 付け て 、 その 正体 を 隠し て い た 。

レディース コミック 、 官能 小説 など を 多数 読み込み 、 また アダルトビデオ に も 接し た この 時期 は 、 女性 の 性 ( セックス ) の 探求 や セクシュアリティ に 傾注 する 藤本 にとって 大きな ステップ と なっ た 。

この シリーズ は 1995 年 4 月 まで 続き 全 六 巻 を 公刊 、 藤本 は すべて の 巻 で 執筆 し 、 さまざま な 切り口 、 たとえば 女性 にとって の 老い 、 仕事 、 生殖 ・ 妊娠 など 多様 な 視点 から 分析 ・ 検討 する 機会 とも なっ た 。

藤本 が 少女 マンガ に 目 を 向ける の は 、 読者 で ある 少女 たち の 価値 観 ・ 意識 ( 夢 や 欲望 ) の 動向 を 、 人気 の ある 少女 マンガ が 鋭敏 に 反映 し て いる と 見る から で ある 。

本 の 帯 で 「 小さい 頃 から 私 は 売春 婦 に 憧れ て い た 」 と 謳っ た この 作品 は 、 レディース コミック から 男性 向け の 性 風俗 、 ポルノグラフィ として の AV や ポルノ 小説 ( いわゆる 狭義 の 官能 小説 ) 、 売春 ・ 援助 交際 、 東電 OL 殺人 事件 まで を 素材 として 、 藤本 が 現代 女性 の セクシュアリティ や ジェンダー を 考察 する 性 の 研究 に 打ちこん で き た 一つ の 成果 と なっ た 。

本書 で 藤本 は 、 現代 女性 の 生き方 が 1990 年代 頃 に 「 受動 的 な 客体 」 から 「 能動 的 な 客体 」 へ と 質的 な 変化 が 起こっ て いる と 指摘 する 。

なお 、 本書 は 、 白藤 花 夜 子 名義 で 発表 し て き た 作品 を も 収録 する ため 、 藤本 は 別名 ・ 白藤 と の 共著 を 強く 望ん だ が 、 版元 編集 者 と 装幀 デザイナー の 説得 で 断念 、 白藤 が 藤本 と 同 一人物 で ある こと を 明かす こと に なり 、 「 風俗 評論 家 」 として 別名 ・ 別 人格 で 執筆 しよ う と する 藤本 の 目算 は 潰 ( つい ) える 結果 と なっ た 。

男性 向け ポルノグラフィ を 考察 し た 藤本 は 、 絵 や マンガ が 法的 な 規制 対象 に なる という 危惧 から 、 横浜 で 行なわ れ た 第 二 回 ・ 子ども の 性的 商業 的 搾取 に 反対 する 世界 会議 ( World Congress against CSEC ) の ワークショップ 第 一部 「 漫画 は CSEC ( 子ども の 性的 商業 的 搾取 ) で は ない 」 で パネリスト として 発言 、 マンガ は 従来 から 子ども たち に 自己 の セクシュアリティ を 考える 機会 や 材料 と なっ て いる と 指摘 し 、 その よう な 良質 な 部分 を 損なう 早急 な 法的 規制 に 、 懸念 を 表明 し て いる 。

女性 の ジェンダー・セクシュアリティ や 、 セックス 、 すなわち 性 の 研究 を 深め た 藤本 は 、 刑事 事件 と なっ た 松 文 館 裁判 で 2003 年 7 月 、 弁護 側 証人 として 出廷 、 わいせつ だ と 疑い を 受け た アダルト コミック 『 蜜 室 』 における 女性 器 の 描写 が 一般 に 流布 する 描写 と 比べ て 特に 過激 だ と は 思え ず 、 むしろ 作者 の きめ細かい 工夫 が 見 られ 、 女性 の 気持ち や 体 が 開い て いく 描写 として 必然 性 が ある と 指摘 する 。

証言 の 中 で 藤本 は まず 、 作者 の 丁寧 な 仕事 によって 「 ( 女性 の 視点 で み て ) 非常 に うまく いっ て いる とき の セックス の リズム とか 呼吸 とか そういった もの を 写し取っ て いる 」 と 述べる 。

この 藤本 証言 に対し 、 一 審 ・ 東京 地裁 刑事 第 2 部 ( 裁判 長 ・ 中谷 雄二郎 ) は 「 藤本 証人 が 述べる よう に 、 そこ に は 性 や 女性 に対する 作者 の 一定 の 意識 等 が 反映 さ れ て いる と 見る 余地 も ない わけ で は ない 」 と 一定 程度 認め ながら も 、 物語 の 展開 や 筋書き から 「 作品 の 眼目 で ある 性交 、 性 戯場 面 を 導入 展開 する ため の もの に すぎ ず 、 作品 の 中心 は あくまでも 性交 、 性 戯場 面 の 描写 に ある 」 と し 、 「 本件 漫画 本 の 構成 や 物語 の 内容 ・ 展開 等 に かんがみる と 、 平均 的 読者 が 、 本件 漫画 本 から 、 弁護 人 ら や 藤本 証人 が 主張 する よう に 、 一定 の 思想 や 意識 を 読み取る と 期待 する こと は 著しく 困難 という ほか なく 、 したがって 、 単なる 好色 的 興趣 以上 の もの を 看取 する こと は ほとんど 不可能 と いう べき で ある 」 と 退け 、 『 蜜 室 』 の 描写 は 「 専ら 読者 の 好色 的 興味 に 訴える もの 」 と 認定 し た 。

この 東京 地裁 判決 について 藤本 は 、 長岡 義幸 ( ジャーナリスト ) 、 米沢 嘉博 、 山口 貴士 と 対談 し た 医学 新聞 『 メディカルトリビューン 』 2004 年 7 月 号 で 、 性 表現 が 過激 化 する 現状 から 判断 し て 、 「 どう 考え て も 負ける はず が ない 」 と 思っ て い た 、 に も かかわら ず 敗訴 と なっ た の は 意外 だ と 感想 を 述べ 、 わいせつ を 決める 基準 は 裁判所 が 独占 ( 健全 な 社会 通念 は 裁判所 の 判断 で 決定 ) する と 宣言 し た 判決 文 を 批判 、 「 どんなに 流通 し て い て も 、 それ が いい か どう か は 裁判所 が 決める もの だ 」 と する 裁判所 の 姿勢 に 懸念 を 表明 し た 。

藤本 は この 一連 の 経緯 を 、 文藝春秋 の 『 日本 の 論点 2005 』 で 簡潔 に 報告 し て いる 。

裁判 長 ・ 田尾 健二郎 ) は 、 藤本 証言 に 言及 し なかっ た ものの 、 「 性器 部分 が 人体 の 他 の 部分 に 比し て 誇張 さ れ 、 かつ 、 細かい 線画 によって 綿密 に 描か れる こと によって 、 性器 の 形態 や 結合 ・ 接触 状態 の 描写 が はなはだ 生々しい もの と なり 、 読者 の 情緒 や 官能 に 訴え 、 想像 力 を かきたてる 」 描写 だ と 判示 し 、 一 審 同様 に 「 平均 的 読者 が 本件 漫画 本 から 一定 の 思想 や 意識 を 読み取る こと は 著しく 困難 」 で あり 、 「 芸術 的 ・ 思想 的 価値 の ある 意思 の 表明 という 要素 は ほとんど 存 し ない から 、 本件 漫画 本 が その 作品 性 、 思想 性 、 芸術 性 により 性的 刺激 の 度合い が 緩和 さ れ て いる と は 認め られ ない 」 と し 、 『 蜜 室 』 の 描写 が 、 「 今日 の 健全 な 社会 通念 に 照らし 、 いたずらに 性欲 を 興奮 又は 刺激 さ せ 、 かつ 、 普通 人 の 正常 な 性的 羞恥心 を 害し 、 善良 な 性的 道義 観念 に 反する 」 わいせつ 物 に 該当 する と 認定 し た 。