ルイス ・ キャロル の 児童 小説 『 不思議 の 国 の アリス 』 ( 1865 年 ) に は 多彩 な キャラクター が 登場 する が 、 その いくつ か は 本 作 を 特徴付ける 言葉 遊び によって 創造 さ れ た もの で あり 、 その 由来 を 考える に は 当時 の 慣用 表現 や 文化 的 な 背景 を 知る 必要 が ある 。
また いくつ か は キャロル と アリス ・ リデル と の 共通 の 知人 を モデル に し た もの で あり 、 その ほか 著名 人 を モデル に し た の で は ない か と 推測 さ れ て いる もの も ある 。
後年 の キャロル の 説明 に よれ ば 、 アリス の 性格 は 可愛らし さ 、 優し さ 、 素直 さ 、 おとなし さ 、 礼儀 正し さ 、 そして 好奇 心 によって 特徴付け られ て いる 。
アリス は しばしば アリス ・ リデル が その モデル で ある と 言わ れる が 、 キャロル 自身 は 「 アリス 」 は いかなる 現実 の 子供 に も 基づい て い ない 、 純然 たる 虚構 で ある と 何 度 か 発言 し て い た 。
この 金髪 の アリス について は 、 キャロル の 推薦 で メアリー・ヒルトン・パドコック という 少女 の 写真 を 元 に し て 描か れ た と しばしば 言わ れ て き た が 、 キャロル が 写真 を 購入 し た と さ れる 日付 が すでに テニエル が 12 点 の 挿絵 を 仕上げ て い た こと 、 また のち の キャロル の 書簡 で 、 テニエル が アリス に モデル を 使わ なかっ た と 嘆い て いる こと など から 、 あまり 信憑 性 は ない と 考え られる 。
後年 の 解説 で は 、 キャロル は 白 ウサギ について 、 彼 は アリス の 対照 ( 「 分身 」 で は なく ) として 生み出さ れ た キャラクター で あり 、 アリス の 「 若 さ 」 「 大胆 さ 」 「 あふれる 元気 」 「 決意 の すばや さ 」 に対して 、 「 分別 くさ さ 」 「 臆病 」 「 脆弱 」 「 狐疑 逡巡 」 を その 特徴 と し 、 「 きっと 震え 声 で 話す だろ う 」 と 述べ て いる 。
なお キャロル と アリス ・ リデル が 遊ん だ オックスフォード大学 クライスト・チャーチ で は ウサギ を 見かける こと は 珍しく なく 、 ウサギ が 穴 に 飛び込む よう な 場面 も 驚く よう な こと で は なかっ た 。
なお チェシャ 州 は キャロル が 生まれ た 地方 で も ある 。
カーター モデル 説 は 1930 年代 に H ・ W ・ グリーン によって 『 タイムズ 』 に 投書 さ れ た こと に 始まる が 、 これ に よれ ば キャロル は 彼 を モデル と する ため に わざわざ テニエル を オックスフォード に 呼び寄せ た と いう 。
しかし 『 アリス と テニエル 』 の 著者 マイク・ハンチャー は 、 キャロル の 日記 や 手紙 など の 資料 から は 、 キャロル が テニエル を オックスフォード に 呼び寄せ た という 証拠 は 見つから ず 断定 は でき ない と し て いる 。
この 眠り ネズミ の キャラクター は 、 キャロル と 親交 の あっ た ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ の ペット で 、 テーブル の 上 で 眠り込む 癖 の あっ た フクロネズミ を モデル に し て いる らしい 。
テニエル の 描い た ハート の 女王 の 顔 は また ヴィクトリア 女王 に 似 て いる と しばしば 指摘 さ れる が 、 マイケル ・ ハンチャー に よれ ば 『 パンチ 』 で テニエル によって 描か れ た ガートルード 妃 ( ハムレット ) の 面影 も ある という ルイス ・ キャロル は 後年 、 ハート の 女王 を 手 に 負え ない 激情 や 盲目的 な 怒り の 化身 として 生み出し た と 記し て いる 。
第 9 章 で は かつて 本物 の ウミガメ で あっ た ころ に 受け た という 様々 な 授業 科目 ( これら は キャロル の 言葉 遊び による 、 実際 の 初等 教育 の パロディ に なっ て いる ) を 涙 ながら に 語り 、 第 10 章 で は 「 子 だら の 歌 」 「 ウミガメ の スープ 」 の 歌 を 披露 する 。
テニエル の 挿絵 で は ウミガメ に 牛 の 頭 、 後ろ足 、 尻尾 を つけ た 姿 で 描か れる が 、 この 姿 は キャロル の 友人 ダックワース の 発案 で あっ た と いう 。
ルイス ・ キャロル の 児童 小説 『 鏡 の 国 の アリス 』 ( 1871 年 ) に は 、 前作 『 不思議 の 国 の アリス 』 に 引き続き 様々 な キャラクター が 登場 する 。
後年 の エッセイ 「 舞台 の アリス 」 ( 1887 年 ) の 中 で 、 ルイス ・ キャロル は 赤 の 女王 を 「 ちょっと 違っ た タイプ の 「 怒り の 女神 」 」 として 描い た と 回想 し 、 その 冷ややか さ や 几帳面 さ 、 ぺ ダン チック さ といった 性質 において 「 女 教師 たち の エッセンス を 集め た よう な 役どころ 」 だ と 記し て いる 。
前述 の 「 舞台 の アリス 」 の 中 で 、 キャロル は 白 の 女王 を 「 気 の 優しい 、 愚か で 、 太っ て い て 、 顔色 の 悪い 人物 」 「 乳飲み子 の よう に 無力 で 、 白痴 の よう に のろ まで 、 間抜け で 、 おたおた し て いる が 、 しかし 白痴 という わけ で は ない 」 という イメージ で 捉え て い た こと を 記し て いる 。
同 記事 の 中 で は キャロル は また 、 この 白 の 女王 と 、 ウィルキー・コリンズ の 『 ノー ・ ネーム 』 という 小説 に 登場 する ラッグ 婦人 という 人物 と の 相似 に 注意 を 促し て いる 。
この 詩 は キャロル が 引用 し た こと で 広く 知ら れる よう に なっ た 。
これ は 当時 イギリス で 流行 し て い た 「 アングロサクソン 学 」 なる もの に対する キャロル の 風刺 らしい 。